“廃棄物が行き場を無くすほど
もので溢れている世界で、
なぜ私たちは新たにものを作るのでしょうか?”
環境問題や工業畜産への問題発起に伴い、 動物成分を
含まない
「ヴィーガンレザー」や「植物性レザー」
と呼ばれるものが近年各国で誕生しています。
動物の皮から作られる本革に対して、「ヴィーガンレザー」は石油資源をベースに、植物などの非動物性の材料から作られます。しかし、植物成分が含まれるものの、その含有量に基準はなく、従来のポリウレタン樹脂などの合成皮革に数%の植物成分を加えただけのものがほとんどです。これらは動物を守ることは出来ていますが、必ずしも本革より環境負荷が低いとはいえません。
一方「植物性レザー」はさまざまな植物から作られ、より持続可能な選択肢と考えられており、動物や環境に優しい代替品を提供しています。生分解機能があるものや植物由来の魅力的な風合いをもつものなど実にユニークです。しかし、植物性レザーの供給は未だ少なく、限られた資源の消費を抑えるという観点において、より多くの開発が求められています。
本革と合成皮革(ヴィーガンレザー)の課題、さらに世界共通である衣料廃棄と食品廃棄の問題。私たちは、これらの社会課題を同時に解決する手段として新素材の開発を行います。
元々は地球の資源であった廃棄物に新たな価値を見出し、新素材の原料とすることで、再び循環させることはできないでしょうか? 今こそ、地球と私たちにより優しい代替案を検討するべきときです。
OUR ISSUE 私たちの社会課題
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薬品や水を大量に使用する本革製造
人は古来より動物の命をいただき、皮や骨まで余すことなく使用することで生きてきました。副産物を長く使用することは、究極のサステナビリティだと言えます。しかし、必要な分だけいただいていた時代から変化し、工業畜産となった今、本当に持続可能であると言えるでしょうか? 現在の本革製造は、工業畜産による森林破壊、製造過程での環境負荷など課題は多岐に渡ります。
例えば、牛革1kgを作るために必要な水の量は17トンにも及ぶと言われ、さらに革を柔らかくするために行われる「なめし」工程に使用するなめし剤は、ほとんどが化学薬品から成り、排水処理が適正に行われず、深刻な水質汚染被害をもたらしている地域があるという報告があります。 -
分解に400年かかると言われる合成皮革
一方で合成皮革は、石油を原料とするポリウレタンや塩化ビニルなどの樹脂に布を重ねることで作られます。これらは安価で手入れが容易なことから人気の製品ですが、焼却時に大量の二酸化炭素を排出して地球温暖化を加速し、プラスチック同様、分解されるまでに400年近くかかると言われています。それは、近年誕生したヴィーガンレザーの多くにも同様のことが言えます。
また、リサイクルレザーと呼ばれるものは、本革を使用する際に出る端材を粉砕し、樹脂などを使用してシート状にすることで作られます。これらはメーカーによって材料や方針が異なり、正確な情報を得るのが難しく、正しく選ぶことが困難なことも課題となっています。 -
「1 秒ごとに トラック 1 台分」の衣料廃棄
ファッション業界では毎年1000億着もの衣料品が生産され、9700万トンの廃棄物を排出し、そのうち1800万トンが残布であったと推測されます。全衣料素材の60%近くはマイクロプラスチックを放出する合成繊維であり、再利用やリサイクルのために回収される繊維製品は、世界全体でわずか20%ほど。
マッカーサー財団の報告書によれば、2015 年の時点では世界全体で、およそ「1 秒ごとに トラック 1 台分」の衣料品が焼却あるいは埋め立て処分されています。繊維産業の廃棄率は業界で常に上位にあり、2030年までに50%以上増加する可能性があると言われています。 -
地球の農地の30%を占める食料廃棄
2023年の世界の食品廃棄物は13億トンという驚異的な量に上り、この地球規模の問題は自然環境や生態系、さらには私たちの生活にとって大きな損失であり、世界共通の課題です。
農林水産省の作況調査によると、日本国内で処分される規格外野菜の割合は、収穫量の約20%であると推計されます。2020年の秋冬野菜のデータでは、収穫量290万トンのうち58万トンは規格外野菜として廃棄されました。世界中で毎年13億トンの食料が廃棄され、これは全生産量の約3分の1に相当します。つまり、地球の農地の30% は、最終的には捨てられる食料を生産するために使用されているのです。
参考
- マッカーサー財団の報告書
- https://www.ellenmacarthurfoundation.org/
- 農林水産省
- https://www.maff.go.jp/
OUR PHILOSOPHY
- Why -
自然の循環ともの作りの共存のために
- How -
Made in Japan の新素材をJapan quality で展開
廃棄物や生物学を活用し、クリエイションの力で
既存品よりも価値のあるものを作る
- Our vision -
既にある物を循環させることが
スタンダードになる世の中に